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安全に、そして驚くほど美しく

~私の胆石症手術の極意~

単孔式腹腔鏡下胆嚢摘除術(たんこうしき ふくくうきょうかたんのうてきじょじゅつ)
胆石症、胆のうポリープ、胆嚢腺筋症などで胆のうを取る手術を受けられる患者様へ
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Ⅰ: 胆石症手術の安全性を最大に高める方法とは

私は腹腔鏡で胆のうを取る手術を数多く行っています。今はメディカルトピアで手術を行っています。多いときは1週間に4~5人の患者さんを手術します。多くは胆石症の患者さんですが、胆のうポリープや胆のう腺筋症にもこの手術を行います。手術に要する時間も、強い炎症を伴わない場合は、1時間以内で終わってしまいます。しかし胆石症の手術はあなどれません。危険な落とし穴がいくつか潜んでいるからです。私はそれらの危険性を確実に理解し、安全確認を怠らず手術を進めています。私がこのように安全性を最大に高めるために、こだわっている点のうちいくつか代表的なものをご紹介しましょう。

まず、フルスペックのハイビジョンカメラを使用して、臓器に近接させて微細な組織構造を確認することです。私の病院、メディカルトピア草加では、ドイツKarl Storz社製の世界トップ水準のカメラを使用しています。肉眼でも見えないような細かな組織構造を、顕微鏡で見るように観察することで、解剖認識を誤らないように注意しています。これは腹腔鏡手術の大きなメリットを最大限に生かすことにほかなりません。


ハイビジョンによる接近戦・細い繊維を
見逃さない


極細フック剥離により胆のう管が
きれいに現れた

次に、極細のフック型電気メスを用いて、組織の繊維を一本一本丁寧に切っていくことです。せっかくハイビジョン高精細の画像で細かな組織を確認できるのですから、大ざっぱな切り方をしたらもったいない。私のやり方は、髪の毛よりずっと細い身体の組織の繊維を、一本一本丁寧に切ることです。この方法により出血を減らしたり余計な組織を切らないことに心がけています。あせらず丁寧に行うことこそが手術の安全性を高めます。しかも結局終わってみればこの方が速いのです。

胆のうを肝臓からはがす場面も重要です。誤って肝臓に切り込んでしまうと出血が多くなってしまいます。私はここでもハイビジョン効果を最大限に利用し、肝臓と胆嚢の間のほんのわずかの隙間を見逃さないように注意しています。この1~2ミリの隙間を、繊細な電気メスのタッチ法により、ドームダウンというテクニックで丁寧にはがしていきます。 右の写真のケースでは丁寧に剥離したにもかかわらず、手術全体で30分しか時間がかかりませんでした。


胆のうと肝臓の隙間をフック電極で丁寧に剥離


胆のうがきれいに切除された様子

術前の精密な画像診断も大切です。私は手術前にDICCTという検査を行い、個々の患者さんの胆のうや周辺臓器を3D画像で観察します。これにより胆嚢が体内のどこにどのような形で存在し、切るべき管がどのような走行であるか、確実に把握します。手術前に外科チーム全員でこの画像を分析し、安全確認を行っています。戦いの前に敵のすべてを把握しておけば、“100戦危うからず”です。
写真左端は、単純な胆のう造影2Dです。真ん中は3D構築したDICCTによる胆嚢造影です。

II : 最高の手術器具を自ら創る

安全性を一切犠牲にせず、徹底的に小さなきずで手術を完遂する。このコンセプトにこだわりぬいた結果、私は現状の手術器具では満足できませんでした。それなら自ら創るしかない!自分が手術を受けるとしたら、自分の身体に使ってほしい手術器具を創る。これが2008年冬の使命でした。その日から日本の手術器具創りの職人さんたちと、コツコツ開発を行い、完成したのが下の2種類の手術器具です。

見えないきずの手術を可能にしたx Gate (エクス・ゲート)

x Gateを使うと、たった2.5cmのきずから最大4本の手術器具をおなかに挿入することができます。これにより、これまでの腹腔鏡手術では4か所必要だったきずをたった1か所に減らすことができます。しかもその1か所のきずをおへその中につくれば、術後しばらくすると手術したことがわからないくらいにきれいに治ります。このような手術方法を単孔式内視鏡手術または単孔式腹腔鏡下手術と呼びます。 右の写真はx Gateを使って単孔式内視鏡手術で胆嚢を切除した患者さんの術後のきずの写真です。どこに手術創があるかわかりにくいですね。 実はおへその中に2.5cm、右のわきばらに2ミリのきずがあるだけです。

メディカルトピア草加病院で行っている単孔式腹腔鏡下胆嚢切除術の様子をみる

X Gateは住友ベークライト社と金平が開発したマルチチャンネルポートという手術器具で、厚生労働省の認可を得て市販されています。国際的な医学雑誌にも掲載され、注目を浴びています。
xGateについてもっと知りたい方はこちらへ

私が行っている単孔式内視鏡手術はTBSの人気番組「夢の扉+」で取り上げられ、2011年・2013年・2015年の3回全国放送されました。その他のメディアでも多く取り上げられています。

BJ needle (ビー・ジェイ・ニードル)
サムライ魂で創った2㎜の巨人

BJ needleは世界の内視鏡外科医を驚かせました。針のように細い器具が、どうしてこんなに力強いパフォーマンスを発揮できるのだ?! 金平は2012年にジュネーブで開催された欧州内視鏡外科学会でBJ needleの開発と臨床データを発表し、学会賞を受賞しました。

BJ needleはわずか2㎜の細さなので、おなかのきずは針で刺した程度。術後しばらくすると見えなくなります。 上のおなかの写真で、BJニードルを刺した傷をさがしてみてください。見つけられましたか? そのくらいわかりにくいきずです。

BJ needleは、ニチオン社と金平が開発した、針状の手術器具で、こちらももちろん厚生労働省の認可を得て市販されています。日本国内はもとより、海外でも多くの外科医が使用し高い評価を得ています。ニチオン社の職人さんが、日本刀の鍛冶技術を応用した「焼きなまし」により、わずか2㎜のシャフトに奇跡のような剛性を生み出しました。

メディカルトピアの胆石症手術では、患者さんの右のわき腹からBJ needleを挿入し、胆のうの位置を制御するのに用いています。BJ needleは単孔式腹腔鏡下手術の安全性を著しく高めることを私は現場で毎日実感しています。

BJニードルについてもっと知りたい方はこちらから

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